捻れ
自分を正当化してみる。
「お前が生まれてきたせいで不幸になった人間がいる」と言われ「生まれてきてごめんなさい」と土下座したことがあるから自分の存在を肯定できない。
「お前の存在はお荷物でしかない」と突き放されたことがあるから他人の顔色を見る癖がついた。
親は子供を虐待する権利があるのだと叩き込まれたから自分の子供をもとうなんて考えたことがない。
「大好きだよ」と言ったって気に入らないところがひとつふたつ見つかったら他人なんてすぐ離れていく。
「薬、飲みすぎじゃない?」と言われてもそれがなかったら私という生物は機能しない。
こんな自分を好きになれ?どうやって?どこを?
嫌いな場所なら100でも言えるけど、好きなところなんてひとつもない。
私と全く同じ境遇で生まれ育ってもまっすぐな人間になった人はいるかもしれない。でも私は私でしかないから卑屈でひねくれた自分にしかなり得ないんだよ。
だからって感情がない訳じゃない。
泣くし怒るし、たまには笑ったりもする。
少しでも綺麗な心になりたいと足掻く自分から離れた場所で、歪で真っ黒な自分がそれをいつも俯瞰している。
だからいつも私はギリギリだしスレスレだ。
いつか境界がわからなくなるかもしれない。
その日が今日ではないようにと祈りながら、毎日薄氷の上でただ蹲る。
いつか割れて凍える水底に沈むことを恐れ、けれどどこかで祈りながら。