苦手なもの
自分に素直であるが故に己の感情を最優先するタイプの人間が苦手だ。
子供は概ねこれに該当するから、可愛いと感じるより先に恐怖に近い感情を持ってしまう。その無邪気さが恐ろしい。
例えば新しいおもちゃを買ってもらった途端にそれまで毎日遊んでいたおもちゃを呆気なく捨ててしまったり。
新しい友達ができたからとそれまで仲良くしていた友人をばっさり切り捨ててしまったり。
けれど自分の気持ちに素直に行動しているだけで、そこには一切悪気はないのだろう。
大人であってもそういう行動を当たり前に行う人はいる。
新しい友人や知人ができ、そちらとの交流の方が新鮮で楽しいからと簡単にそれまでの人間関係を終わらせてしまう人。
大好きだった恋人と別れてもあっという間に別の人を好きになれる人。
気に入らない相手をすぐに完全拒絶してしまう人。
もちろん、否定するつもりは一切ない。それは感情の問題だからどうしようもないことだ。
…だが、そういう場面に遭遇すると言いようのない気持ちになってしまう。
私は致命的に気持ちの切り替えが下手くそだから、大切なものをとことん大切にする。
一度友人になった相手とは叶うなら生涯繋がっていたいと思うし、それは新しい友人や知人が増えたからといって揺るいだりしない。可能な限り同じ比重でひとりひとりを大切にしたい。
恋人と別れたり好きな相手に振られたとして、数日後に別の人を好きになるなんて経験も勿論したことがない。気持ちが凪いでいくには相当な時間を要す。
誰かをブロックする時には自分がブロックされた時の重く不快な感覚を想起し、己の保身のために相手にその感情を強いてしまうことに抵抗を感じたり申し訳なさを抱えて躊躇する。
色んな人の出会いや別れ・人間関係の構築形式を見るにつれ、自分は重く面倒臭い生き物だなぁと痛感する。
もっと色んなことにドライになれたら楽かもしれないのだが、なかなかどうしてそれが非常に難しい。