闇より深い闇ブログ

闇深き奇天烈人間のブログ

マワルセカイ

猪突猛進な人生を謳歌しているように見える私だが、実際は石橋は叩いて渡らない慎重派だ。

動物をお迎えするときには大前提で「ただご飯をあげて楽しく暮らせるわけではなく、病気や怪我もする」と想定し、その生涯にかかる医療費まできちんと責任が取れるかも考える。

さらには全ての家族(家の中の猫、外猫、かたつむり)に等しい愛情をかけたいと思う。懐いてくれる子を贔屓するなんてことは絶対にしたくない…これは甘え下手な私が様々な場面で経験した切なさを踏襲している。

そういう意味でもあまり沢山の毛深い家族をお迎えすべきではないと自覚し、ブレーキをかけている。

 

今回はひび割れ寸前の石橋を渡り始めている。

けれど何百回同じシチュエーションになっても私は同じ選択をしたと思う。

 

外で喧嘩をしていた猫を保護。

人懐っこいからきっと飼い猫さんだと思い獣医さんにマイクロチップの確認に行く。

マイクロチップは入っておらず妊娠しているとその場で発覚、検査して頂くと早ければ5日後には出産するという診断。

飼い主さんや世話人さんがいらっしゃるにせよまずは出産させてあげる環境を作るしかない。

猫用ケージを準備したり出産ハウスを作っている間に5日が経過。

夜、唐突に1匹目を出産。

その6時間後に2匹目を出産するも死産なのかと思う状態。タオルでカイロを低温やけどをしない程度に温め、その上で数時間撫でてなんとか毛を乾かし、母猫の母乳に近づけ飲ませるもほとんど飲まず。

さらに母猫のお腹に3匹いるはずの子猫の出産がストップしたまま15時間が経過し、獣医さんに相談。2匹目の状態も思わしくないので3匹全員を診て頂く。

母猫には子宮収縮剤を投与し出産を促し、2匹目は母猫の傍に置きいよいよになったら私たちがミルクを飲ませる方向になった。

帰宅後、無事に3匹目が生まれるも夜に1匹目の呼吸音がおかしくなり、2匹目と同じような処置をしたが虹の橋を渡った。不甲斐ない。

獣医さんにお聞きしたところ、先天性の呼吸器疾患があったのだろうというご説明だった。

その翌日、持ち直した2匹目も状態が急変。温めようとすると母猫が警戒して触らせてくれない。やきもきしながらも母猫に委ねるしかなく、母猫が落ち着きケージを覗いた時には虹の橋を渡ってしまっていた。首には噛み跡、手はちぎれかけていた。辛すぎた。

3匹目は今のところ無事だが、2匹目と同じことを母猫にされてしまうのではないかと心配で仕方ない。そして成長もあまり芳しくない気がする。

万が一の時には私が2時間おきにミルクをあげようと思いつつも不安しかないので保護猫活動をなさっている団体に念のため相談させて頂いた。

 

母猫は野良さんだったのに急に家に(しかもケージに)入れられ、出産や育児が始まりいっぱいいっぱいなのだろう。

外での生活では食事もままならず、子猫たちにも十分な栄養は与えられていなかったはずだ。しかも出産に相当な時間がかかったのだから子猫たちが衰弱しきっていても仕方ない。

その子たちを救おうとしたとはいえ人間の手が自分の子を連れ去るのではないという恐怖を感じて母猫は凶暴になっていたと考えられる。

一度人間がミルクをあげ始めると母猫に戻すことは難しくなるので、まずは母猫が子猫のお世話をすることに委ねる。3匹目が明らかに衰弱しているようであれば、その時に腹を括って母猫から取り上げる。

…そういうアドバイスを頂いた。

 

親子のケージを少しでも暗く静かな場所に移し、そっと眺める…今日はそうやって様子を見ている。

 

僅か数日しか接していないのに、小さな2匹とのお別れには心を抉られた。後悔や申し訳なさや悲しさでぐちゃぐちゃになった。

そして3匹目が無事に成長してくれるのか、それが今は本当に怖い。

 

私がしていることは無鉄砲で無計画なことかもしれない。いや、自分でもそう思う。

ただあの時には他に選択肢がなかった。見捨てるという発想は私にはない。綺麗ごとだとよく理解している。

でもこんな馬鹿がたまにはいる…そういう世界があってもいいと私は思う。

ニャンゲル係数が大変なことになってきたら泣きながらサトルゴジョーの増殖を我慢する。自分の食費を減らす。

父が私に遺してくれたお金が果たしてあといくらあるのかわからないけれど、それらを全部動物に使っても父は「お前らしいな」と笑ってくれると思う。

だから、これでいい。

 

体力的には相当きている。

先週の土曜日の保護から一週間強、はっきり言って寝ていない。体を横にする時間はあるがほとんど眠れていない。

でも、それもこれでいい。

動物に何かする時には不思議とまったく「ああ大変だな」とは思わない。

たまたま私は人間の形をしている。彼らは猫の形をしている…ただそれだけの違いしかない。

私の方が少し大きくて色んなことができるから彼らのお世話ができているだけだ。

 

そうやって回る世界に私は存在していたい。